休眠会社と銀行口座の関係
休眠会社では事業自体は行わないものの、法人としては継続している状態になります。廃業はしていないが、活動もしていないと言う中途半端な状態によって変わった特徴を持つため、口座残高については注意が必要です。
基本的には休眠の際には口座残高をすべて引き出しておく方が安心でしょう。その理由は色々ありますが、最初にチェックしておきたいのは利息の発生です。銀行口座に預金がある状態でしばらく時間経つと当然利子がつきます。この預金利息の発生があると、休眠していないとみなされてしまう恐れがあるので、注意が欠かせません。
他にも、銀行の口座残高を残しておくリスクはあります。例えば、休眠会社の口座を使って、取締役などが個人利用の目的で入金・出金処理をするケースです。この場合には不透明なお金の流れが生じることになります。最悪の場合では違法行為になりかねません。休眠中とは言え会社は存続しているわけですから、公私混同になるような口座の利用は避けるべきでしょう。そのために口座残高を無くしておくと、不必要なリスクを低減できるわけです。
一方、口座残高をゼロにしておくことで、メリットもあります。それは税金が、一部免除される可能性が出てくるのです。一般的に休眠会社も存続しているものとして扱われるので、各種の納税義務があるものの、地方税などの免除に関しては、預金の有無が一つの判断材料になっています。他の要素も関係してきますが、預金がゼロであれば免除される可能性は高まるのです。
休眠会社の口座残高の放置を続けるとどうなるのか
休眠会社の銀行口座に残高がある状態で放置しても、一般的にはすぐさま問題が生じるわけではありません。しかし、一定の事由が生じると厄介な事態になりえるので、気をつけたいものです。
例えば、休眠中の代表取締役の死亡や退任が挙げられます。取締役については会社法で、幾つかの欠格事由が列挙されており、それに該当した場合には役目を継続することはできません。破産したり死亡したりすると欠格事由に該当し、取締役では無くなってしまうわけです。この状態になると、何らかの必要性があって口座残高を処理したい時には、変更登記が必要になってきます。
しかし、変更登記を行うためには株主総会が要求されるのですが、これが面倒だったり困難になったりしていることがあるのです。もちろん、変更登記事態にも費用が必要なので、思わぬ出費になってくるということも言えるでしょう。したがって、口座残高については予めゼロにしておいた方が安心です。
それならばいっそ、口座を解約してしまえばと考えるかも知れませんが、それは慎重に判断しましょう。なぜかと言うと、清算が必要になるケースがあるからです。
休眠会社は永続的なものではありません。休眠のための届けを出して12年が経つと、みなし解散と言う制度が適用されます。こうなると清算を行うことが必要になってきますが、この処理には口座があった方が利便性が高いです。結論としては、みなし会社では口座の解約が要求されるわけではありませんから、一般的には、会社自体が消滅する時に解約すれば良いと考えられます。
後は消滅時効の制度が問題になってくるでしょう。この制度は一度発生した債権は、一定の時間が経過すると効力を失うと言う強烈な特徴を持っています。これによって、売掛金などの債権は数年の経過で請求できなくなってしまうのです。
これは自分の持つ現金には影響しないのですが、預金となると話は別になります。預金は銀行に対する債権として扱われるため、一定時間の経過で払い戻してもらうことが不可能になり得るわけです。よって、休眠会社として口座残高を放置しておくと、預金債権が消えてなくなりかねませんから、予め引き出してしまった方が良いでしょう。
休眠会社や口座残高で悩んだ時には
休眠会社における口座残高の処理に関しては、色々な悩み事があるでしょう。みなし解散の存在にも要注意ですし、会社を復活させる時にも気をつけたいポイントがあります。したがって、この点で悩んだ際には、税理士などのプロフェッショナルへの相談が好ましいです。
そもそも休眠すること事態にメリットもデメリットもあるので、これから会社をどうするか考える際にも、プロのサポートがあった方が安心と言えます。休眠中であっても、結局は納税義務もありますし公共料金も発生しかねません。どうするのが最も適切なのかを慎重に検討して、判断していくようにしましょう。