昨今は副業を解禁する会社も増えてきて、会社でお給料をもらって仕事をするかたわら、趣味の同人活動によって収入を得る人も増えています。
例えばコミックマーケット等で自作した同人誌を販売したり、イラストレーターとして業者からイラストの作成請負をしているなど色々なケースがありますが、いずれにせよこの様な活動で収入がある場合には、確定申告で税金を納付しなければなりません。
同人活動で確定申告が必要な人は?
同人活動で収入を得た場合に確定申告が必要かどうかは、その人の総収入に依ります。
まず確定申告の基本的なお話として、103万円の壁というものがあります。これは年間の収入が103万円に満たない場合には、確定申告をする必要がないというものです。そもそもなぜ確定申告が不要なのかと言うと、基礎控除とプラスアルファで65万円の控除があるからです。
基礎控除というのは条件なしに誰にでも適用される控除のことで、所得金額から38万円を控除することができます。加えてパートなど給料を貰う労働者の場合、給与所得控除というものがあり、65万円の控除を受けることができます。
従って、基礎控除38万円+給与所得控除65万円の合計で103万円ということになるのです。結婚している主婦の方が年間103万円以下に給料を抑えるということの理由のひとつとしてこのような制度があるのです。
ところでこれはパートなどのお給料をもらっている場合の例であって、同人活動をしている場合には、その収入は給料ではないので給与所得控除が使えません。
では103万円以下の収入でも確定申告が必要なのかと言えばそういうことではなく、実は「家内労働者等の所得計算の特例」という制度があり、同人活動のような副業の場合であっても他に収入がなければ65万円を経費として計上しても良いこととされています(実際に65万円まで経費がかかっていなくても構いません)。
ただし、給与収入がある場合にはすでに給与所得控除として65万円の控除を受けているため、副業として同人活動の収入がある場合にはそちらの方で65万円の控除を受ける事はできないので注意してください。
確定申告の手順
確定申告の時期は2月~3月中旬までになります。この時期までに必要な申告書類を揃える必要があります。
その前に、そもそも確定申告とは何をするものなのかという事を把握しておきましょう。そもそも確定申告というのは年間の収入を自己申告し、その収入相応の税金の計算をする作業です。申告する税金は所得税ですから、つまりは税金を計算するためには所得を計算しなければならないのです。
所得の計算というのは、以下の通りになっています。
①総所得-②所得控除=③課税所得
つまり、確定申告で税金の計算をするにあたり、揃えるべき資料は①総所得と②所得控除のための書類になります。
①総所得というのは収入の合計のことを指しています。給料の収入もここに入ってきますし、同人活動の収入もこれに含まれます。つまり必要な書類は、
- 給与の源泉徴収票(給与収入がある場合)
- 同人誌の販売収入金額等が分かる資料(発行した領収書、活動収益が振り込まれている預金通帳等)
- 同人活動の経費の領収書
基本的に必要な書類は以上になります。
次に②所得控除に必要な書類です。
こちらについては給与収入がある場合には、医療費控除や雑損控除などを受ける場合以外は特に書類を集める必要はありません。なぜならすでに年末調整で控除の話は終わっているからです。
しかし収入が同人活動のみである場合には、社会保険料控除や生命保険料控除がされていないので、これらの書類が必要になります。
これらの書類については10月~11月にかけて自宅に届けられますので、無くさないように大切に保存しておきましょう。
主に使う書類としては社会保険料や年金の支払いに関する通知はがき、その他生命保険料控除や地震保険料控除のはがきがあります。
これらの書類がそろえば、後は必要な計算をして確定申告書に記載していくだけになります。しかし自分で申告書を作成するのは難しいという方は、必要な書類と印鑑、通帳を携えて確定申告会場に行き、代わりに申告書を作成してもらう方法をおすすめします。
同人活動における税金の注意点
同人活動における税金の注意点として①赤字の場合、②レシートを紛失した場合、③無申告の場合の三つの注意点を説明します。
①赤字の場合
もしも活動の結果、赤字となってしまった場合には基本的に確定申告は義務ではありません。ただし、以下のケースのあてはまる場合には確定申告が必要、もしくはしておくべきです。
・消費税の納税義務者である場合・・・消費税の場合は黒字か赤字かに関係なく納税する義務があるので、納税義務者である場合は必ず申告してください。
・青色申告をしている場合・・・青色申告をしている場合、次の年に儲かって黒字になったら去年の赤字と通算することができるので税金が安くなります。この制度は赤字でも確定申告した場合のみ適用されます。
②レシートを紛失した場合
レシートについては5年間保存する義務があります。なのでレシートを紛失した場合には再発行をしてもらうことが望ましいでしょう。
それができない場合、あらかじめレシートの内容を帳簿に記録しておくなどの措置を取っておきましょう。基本的に必要な情報は「日付取引先内容金額」ですので、普段からしっかり帳簿をつけておくことをおススメします。
③無申告の場合
無申告の場合、無申告加算税と延滞税が課せられて余計に税金を支払わなければならなくなります。後で手痛い出費にならないように、確定申告をすべき場合には必ず忘れないようにしてください。