不動産賃貸をしている人や自社で倉庫などを持っている人は数年に1度は修繕をすることになり、特に雨漏りは年数が経過すると発生する可能性が高く、古い建物を所有している人は屋根工事を検討している人も少なくありません。
またこれらの修理費用は工事内容によって修繕費か資本的支出か判断しなければならず、その見極めは税理士であったも迷うほどです。
そこでこの記事では特に質問が多い「屋根工事の耐用年数」について解説したいと思います。
屋根工事の種類
「雨漏りが頻繁に起こるようになった」「部品が落ちそうで危険」「天井や壁に染みが出ている」などの症状が出た場合に屋根工事を検討しますが、その工事内容は多岐にわたります。
- 屋根材の交換
- 屋根材の塗装
- 下地材の補修
- 雨漏り箇所の修繕
- コーキングや金具などの部分補修
- 全面葺き替え
減価償却とは
減価償却とは法律で決められている償却期間で取得価格を分割して経費に計上する方法をいいます。例えば、屋根工事の耐用年数は建物に準じた償却期間を使うことになり、建物は木造なら22年、鉄骨鉄筋コンクリートなら47年にわたって減価償却をしていきます。
なお減価償却の方法には主に定額法と定率法があり、建物は原則として定額法に基づいて減価償却費を計算することになりますが、古い時期に取得した建物については旧定率法に基づいて償却費を計算します。
資本的支出と修繕費の違い
不動産を所有する上で必ず発生するのが修繕です。小さいものであれば蛍光灯の交換や給湯器の修理、大きいものであれば給排水設備や消防設備の修理、外壁塗装などです。さらに入居者が退去した際には現状回復工事をすることになります。
これらの修繕費用は税務調査で必ず問題になります。なぜかと言うと他の経費と比較して金額が多額になる傾向がありかつ税額に大きな影響を与えるためです。
工事や修繕をしたときは税務上はその工事内容によって修繕費と資本的支出に大別されます。修繕費となった場合には必要経費となるのでその完成した事業年度に一度に経費に計上することができます。しかし資本的支出に該当した場合には、まずは貸借対照表の資産の部に計上し、その後、耐用年数にわたって減価償却をしていくことになります。
つまり両者の違いは一度に経費にすることができるか、あるいは複数年に分割して経費に計上するかという点です。
資本的支出に該当するかどうかの基本的な考え方は、リフォームをすることによって使用可能期間が延長したり、その資産の価値が向上する場合は資本的支出に該当することとなりますが、この判断は税理士でも迷うほどです。