個人事業主の方、あるいは中小企業の経理担当者にとって、経費の管理は避けて通ることのできない重要な務めであり、しっかりと行わなければなりません。しかし、どこまで経費として計上できるか曖昧な部分もあり、その判断に悩む方も多いです。
では、メガネの購入費用は経費として計上できるのでしょうか。その詳しいルールを解説していきますので参考にしてみてください。
メガネは経費にすることができない
まず結論から述べますと、基本的にメガネの購入費用は経費として計上することはできません。
経費として計上するには、事業を運営する上で必要なものなのかを正しく判断しなければなりませんが、メガネは業務とプライベートのどちらのシチェーションでも使用することができるので、明確な境界線を引くのは難しいです。
例えば、メガネ屋を運営している会社が店舗スタッフにメガネの着用をさせているという場合であれば経費として計上することができますが、「視力が低いからメガネをかけなければならない」という理由では、私的な利用だと指摘されてしまいます。
これが車であれば、ガソリン代の計算によって公的利用と私的利用の割り振りをすることも可能ですが、メガネとなるとそのような明確な割り振り方法もなく、いくらプライベートでは使っていないといってもそれを証明することはできません。
これらの理由から、メガネの購入費用を経費として計上することはできないということになります。
パソコン用メガネなら経費計上も可能
しかし、例外もあります。同じメガネであっても「パソコン用メガネ」であれば、経費として計上することが可能になります。
パソコン用メガネとは、モニターから発せられるブルーライトをレンズ部分でカットして目を保護してくれるものですが、一日中仕事でパソコンを使用しているという人は、パソコン用メガネを使って日常的に目を保護しておく必要があります。
ブルーライトが目に及ぼす影響は広く認知されており、多くの人がパソコン用メガネをかけながら仕事をしているので、経費として計上しても何ら問題にはなりません。
ただし、個人事業主で従業員がいないのに必要以上の数を購入したり、頻繁に買い換えたりしていると、プライベートでの利用を疑われるので注意が必要です。そのほかにも、パソコンをほとんど使わないにも関わらず購入している場合は、経費として認められないかもしれません。
事業内容によっては、本当にパソコン用メガネが必要なのかということを確認されることもあるでしょう。パソコン用メガネがどれだけ事業に関わっているか、しっかりと見極めた上で経費の申告を行う必要があります。
また、あまりに値段の高いものを購入しているなどの場合でも指摘を受ける可能性があります。一般的に妥当な金額なものでないと、事業には不必要な費用だと判断されることを頭に入れておきましょう。
メガネの購入費用は医療費控除を受けられる場合がある
メガネは、いくつか条件がありますが、場合によっては医療費控除できることがあります。
メガネの購入費は多くの場合、近視や遠視などのために「日常生活の必要性に基づき購入されるもの」になり、原則医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除するためには「視力を回復させる治療に必要なもの」という認識が重要になりますが、「治療のために必要」と医師が判断したメガネであれば、一部医療費控除の対象となるものがあります。
弱視や斜視、白内障や緑内障などの治療で病院に通っている方の中には、医師の指示によりメガネを購入しているという人もいますが、その場合は医療費控除の対象になるのでその費用を申告しておきましょう。その際、必要なものがいくつかあるので記載しておきます。
- メガネを購入した際の領収書
- 疾病名と症状が記載された処方箋
確定申告の際にこれらを添付して、治療を受けていることを証明しましょう。
また、医療費控除として認められるのは原則医療費の総額が10万円を超えていなければならず、費用の全額が控除されるわけではないということも覚えておかなければなりません。控除されるのは10万円を超えた部分の費用なので、メガネ購入費が11万円なら控除の対象となるのは1万円ということになります。
以上のことをきちんと踏まえた上で申告に臨むようにしましょう。